タバコ代は惜しまないが、家賃は払わない。
そんな生活を続ける猫耳の獣人を主人公にしたテレビアニメ『ヤニねこ』が、2026年7月2日から放送されている。
原作は、にゃんにゃんファクトリーが「ヤングマガジン」で連載する漫画だ。
喫煙、酒、汚部屋、無職、下ネタといった扱いの難しい題材を隠さず、社会生活に向いていない者たちの日常を短い騒動へ落とし込む。
ただし、登場人物を突き放して笑うだけの作品ではない。
誰かが問題を起こせば、怒りながらも別の誰かが後始末をする。
その切れない関係が、下品なギャグの奥に残る。
ヤニ以外は何もない21歳の生活
人間と獣人が共存する世界で、ヤニねこ(CV:夏吉ゆうこ)はアパートに暮らしている。
本名は佐藤ヤニ子、21歳。
タバコを最優先にするヘビースモーカーで、働いても長続きせず、家賃まで煙に変えてしまう。
第1話では、しっかり者の妹子に部屋の写真を求められ、汚部屋をごまかそうとして騒動を広げる。
公園で子どものサッカーに加われば不審者として通報され、大家の畑を手伝えば別の問題を起こす。
善意や労働が更生につながらず、むしろ被害を増やす構造が徹底している。
ヤクねこ(CV:松岡美里)は、同じアパートに住む20歳の後輩だ。
ヤニねこを「先輩」と慕うが、怪しい煙と不穏な言動をまとい、常識的な相談相手にはならない。
第2話では、ヤニ切れを起こした先輩にタバコをせびられたことから二匹で行動し、働き方や自由について中身の薄い会話を重ねる。
互いに生活を立て直せないからこそ、一緒にいる時間だけは妙に長い。
周囲にも、格闘ゲーム配信者のハメねこ(CV:船戸ゆり絵)、笑いに貪欲な大学生のカンサイねこ(CV:清水彩香)、酒浸りの大学生アルねこ(CV:井澤詩織)がいる。
ヤニねこの妹である妹子(CV:本泉莉奈)は姉に厳しく、隣人のおちんぽ達郎(CV:明智璃子)は喫煙者の漫画家だ。
アパートの大家(CV:稲田徹)は強面ながら面倒見のよい常識人であり、住人たちの無軌道な生活を辛うじて現実へつなぎ止めている。
放送できる線を作品の側から笑う
監督は木村拓、脚本はあおしまたかし、アニメーション制作はバイブリーアニメーションスタジオが担当する。
原作の線を整えて清潔に見せるのではなく、吸い殻や煙、汗、汚れを画面へ残し、失敗の瞬間を動きと間で膨らませる方向だ。
一部話数には、地上波向けの「オンエア版」と、演出意図を保った「邪竜解放版」が用意されている。
作品内の下品さを単に規制の問題として隠さず、版の違いそのものまで宣伝材料さを単に規制の問題として隠さず、版のへ変えた形である。
第2話の劇中歌「ニコチン受容体体操」も、健康番組のような形式へ喫煙欲求を押し込み、歌と映像の両方で悪ふざけを成立させている。
主要キャストの以前の共演作品
ヤニねことヤクねこを演じる夏吉ゆうこと松岡美里は、前年のテレビアニメ『うたごえはミルフィーユ』でも同じ部活動の仲間を演じていた。
夏吉ゆうこ × 松岡美里 歌へ向き合う部員同士
『うたごえはミルフィーユ』
- 繭森結:夏吉ゆうこ
- 近衛玲音:松岡美里
『うたごえはミルフィーユ』は、ポニーキャニオンと山中拓也による音楽プロジェクトを基に、2025年に放送された全10話のテレビアニメである。
人の声だけで音楽を作るアカペラを通して、手鞠沢高校の少女たちが互いの性格やコンプレックスと向き合う。
繭森結は声楽の道を志す1年生で、手鞠沢高校アカペラ部の1stコーラスを担当する。
歌への自負が強く、周囲にも高い水準を求めるため、思ったことを鋭く口にして部内へ摩擦を生む人物だ。
近衛玲音は2年生の副部長で、3rdコーラスを受け持つ。
文武両道で周囲への気遣いもできるが、幼なじみの古城愛莉を優先しすぎる一面を抱えている。
結と玲音は同じ六人組として練習やライブを重ね、それぞれ異なる音域から一つのアカペラを支える。
二人が翌年にヤニねことヤクねことして並ぶのだから、配役の落差で風邪を引く。
『うたごえはミルフィーユ』では、歌へ真剣に向き合う高校生だった。
『ヤニねこ』では、夏吉ゆうこが家賃よりタバコを優先する先輩を演じ、松岡美里が怪しい過去を持つ後輩としてその生活へ入り込む。
第9話の文化祭ライブを経て、結は玲音の才能を自分以上の「バケモノ」と評する。
他人へ厳しい結が、同じ舞台で声を重ねた玲音の実力だけはごまかさず認める。
1stコーラスの結と3rdコーラスの玲音は、近い性格だから結ばれるのではなく、互いに異なる声を出したまま一曲の中で共存している。
